天水園 屏山文物徑(ピンサン・ヘリテイジ・トレイル)で歴史散歩

超高層ビルが建ち並ぶ現在の香港からは全く想像できませんが、イギリスの植民地になる前の香港は小さな漁村だったのだそうです。たしか香港がイギリスの植民地になったのは1842年、九龍半島が植民地になったのが1898年ですから100年ちょっとで今の姿になったということになります。

凄い速さでスクラップ&ビルドを繰り返しながら今の姿になった香港には、昔の様子を垣間見れるような建築物はあまり残されていないのですが、昔の以降を残している数少ない場所の一つが、天水園の屏山にあります。

屏山の付近には、1000年以上前に中国大陸から移住してきた「原居民」と呼ばれる人々が作った建築物が多く残されており、それらの建物をみながら散歩できるように整備されているのが屏山文物徑(ピンサン・ヘリテイジ・トレイル)です。といっても、それほどきっちりした遊歩道ではなく、普通の住宅地を歩く形です。

元朗辺りを走る軽鐵の屏山駅からブラブラ歩きます。
周囲にはちょっと古めの味のある建物がたくさん有って、遊歩道前から結構面白い。

そんな建物を眺めながら歩いて行くと一番最初に見えてくるのが洪聖宮。
1767年に建てられたもので、漁師を中心とした付近の人々からの信仰を集めたお寺。お寺の前は坑尾村公園という小さな公園になっているので、本格的に歩き出す前に小休止してもいいかも。

そのまましばらく歩くと左手にキレイな青煉瓦で作られた建物が見えてきます。
これどこの国の写真?って感じですが香港です(笑)

これは、覲廷書室と清暑軒という2つの建物。
覲廷書室は科挙を目指す子供たちの私塾として使われ、その後も第二次世界大戦後まで地域の子供の学習の場として使われていた建物。美しい内装の飾りと中庭の目を奪われます。

隣に建つ清暑軒は外部からのお客の宿泊施設だったとか。

覲廷書室のところで右折、表通りを離れて小径を歩きます。
ちょっと洒落たデザインの公衆トイレやうらぶれた感じの飲食店を見ながらのんびり進みましょう。

続いて見えてくるのが鄧氏宗祠と愈喬二公祠
鄧氏というのはもともとこの辺りに住んでいた一族だそうで、その祖先を祭っているのが鄧氏宗祠。となりにある愈喬二公祠は見た目は似ているのですが、こちらは学校として使われたいたという不思議。

ちょっと裏道に入るとこの風景。
散歩道から逸れた方が面白い景色が見られます。

再び散歩道に戻って先に進みます。
ここまでは低層の住宅地の隙間を抜けてきたのですが、ちょっと景色が開けて↑のような風景に。なんだか日本の里山みたい~。

小径の先にあるのは楊侯古廟。
しかし、ここで祭られている「楊侯」というのが誰のことだかはっきりしないという切なさ。

元の道に戻った所にある謎のサークル・・・
打ち捨てられた公園のベンチのようにも見えますが、じつはこれ「古井戸」です。

現在は封鎖されて使われていないらしいのですが、今でも井戸は満々と水をたたえ、中には水草が茂っているという・・・。200年以上の歴史がある井戸だそうなのですが・・・。

次に見えてくる大きな煉瓦造の建物は「上璋圍」
この付近に住んでいた鄧氏が築いたもので、煉瓦の壁の中に住居があります。

今でも普通に住居として使われており、一般のお宅なので観光客の立ち入りは禁止されています。

入口からちょっとだけ中を覗くとこんな感じ。
一部の建物に青煉瓦が残されているのが分かります。

上璋圍を通り過ぎると景色が開けて目の前に大きな池が見えます。
かつてこの辺り一体は大きな沼だったらしく、古い写真を見ると↓の聚星樓の前まで大きな沼が広がって風光明媚な景色であったことが分かります。今はなんだか雑多な駐車場になってますが・・・。

香港に現存する塔で最も古いといわれる聚星樓。
鄧族七代世祖の鄧通彦が子孫が科挙試験に合格することを祈願して建てたといわれる、割と身近な祈願のための塔(笑)

そのせいか、学生の合格祈願に御利益があるとされ受験シーズンになるとお参りが絶えないとかいう話も。

と、いう感じで屏山文物徑の歴史散歩は終了~。
聚星樓はMTR天水園駅のすぐ目の前にあるので、MTRに乗って帰ることにしましょう。

香港に暮らしているとあまり目にすることがない歴史的な建造物を巡る旅、普段見ることがない香港の一面が見れるので。たまにはこういう散歩も面白いですよ。

 

この記事へのコメント(1件) |コメント入力欄へ

ひとし さん  2021年4月 9日 00:05  返信

いいですね。
福田からイミグレーションを抜けて行くためには、どのバスに乗車したら良いですか?

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